2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧
2 1943?年 切り紙絵 『ジャズ2 サーカス』です。 解説より。息を吞むようなスリルと緊張感のなか、バランスをとって一歩ずつ綱を渡るサーカス芸人の姿がスポットライトに照らし出されている。その下には万一の落下に備えて布か網のようなものが張られ…
1 わたしはアンリ・マティスの絵が好きです。といっても実際にマティスの絵を見たことはないので、印刷されたマティスの絵が好きということですが。 マティスの生涯は、1869年12月31日~1954年11月3日です。 ピカソが形体を現実のものから解…
4 達二は、眼を開きました。みんな夢でした。冷たい霧や雫が頬に落ちました。空は霧で一杯で、なんにも見えません。にわかに明るくなったり暗くなったりします。一本のつりがねそうが、身体を屈めて、達二をいたわりました。 そして達二はまたうとうとしま…
3 達二はみんなと一緒に、たそがれの県道を歩いていたのです。 橙色の月が、来た方の山からしずかに登りました。伊佐戸の町で燃す火が、赤くゆらいでいます。 「さあ、みんな支度したくはいいが。」誰かが叫びました。 達二はすっかり太い白いたすきを掛け…
2 達二は、仰向けになって空を見ました。空がまっ白に光って、ぐるぐる廻り、そのこちらを薄い鼠色の雲が、速く速く走っています。そしてカンカン鳴っています。 達二はやっと起き上って、せかせか息しながら、牛の行った方に歩き出しました。草の中には、…
『種山ヶ原』 1 種山ヶ原というのは北上山地のまん中の高原で、青黒いつるつるの蛇紋岩や、硬い橄欖岩(かんらんがん)からできています。 高原のへりから、四方に出たいくつかの谷の底には、ほんの五、六軒づつの部落があります。 春になると、北上の河谷…
宮沢賢治詩集 より 『春と修羅』 序 わたくしといふ現象は 仮定された有機交流電燈の ひとつの青い照明です (あらゆる透明な幽霊の複合体) 風景やみんなといつしよに せはしくせはしく明滅しながら いかにもたしかにともりつづける 因果交流電燈の ひとつ…
第二十章 異俗(世俗と異なる)学を絶てば憂い無し。唯と阿と相去ること幾何(いくばく)ぞ。善と悪と相去ること何若(いかん)。人の畏るる 所 、畏れざるべからず。荒たること、其れ未だ央(つ)きざるかな。衆人 は熙熙(きき)たること、大牢(たいろう…
第十九章 還淳(淳朴に還る)聖を絶ち智を棄つれば、民の利 百倍 なり。仁を絶ち義を棄つれば、民、孝慈に復す。巧を絶ち利を棄つれば、盗賊有ること無し。此の三者は以為(おも)えらく文足らずと。故に属する 所 有らしむ。素を見わし朴を抱き、私 を少な…
先日、市内にある天来記念館に行って来ました。いつか行ってみようと思っていたのがかないました。比田井天来は、明治5年(1872年)に佐久市協和片倉に生まれ、漢字や哲学を学び、古典を学書の基本に据えた書法を追求して生涯を書の研究に捧げ、昭和1…
月刊近文と私 8 「月刊近文」は、主催者 伴 勇氏(1918年~1992年)の逝去により、 1992年(平成4年)4月号をもって終刊となりました。1983年(昭和58年)月刊近文10月号に拙い自分の一篇の詩を掲載されたのが縁で、伴氏とは送られてくる詩誌と…
1990年度 詩誌『月刊近文』より紹介です。 『油絵』 池上治 叔父にその絵具を貰うことで、油絵をやったことがある。 独習だったが、しばらくして入門書を読んでみると、色に 深みをもたせるために、最初は原色を使用するとあった。 それも実際とはかけ離…
第十八章 俗薄(俗世に大道が薄らいだとき)大道廃れて仁義有り。智慧出でて大偽有り。六親(りくしん)和せずして孝慈有り。国家昏乱(こんらん)して 忠臣 有り。 この章は、仁義、忠孝等と道徳が尊重されるのは、大道が行われなくなったためであり、世の…
1989年度 詩誌『月刊近文』より紹介です。 『見たいものは』 小田悦子 青い空 青い空 目の中の虫 青い空 青い空 目のなかの虫 虫 青い空を見ようとすらば 目の中に虫がはい回る 好き通って 形もなくて 見つめようとすれば逃げて行く 手に届くものを見て…
1988年度 詩誌『月刊近文』より紹介です。 『鏡の中のふたり』 岸 まや子 あの日 わたしたちが見ていた わたしたちの鏡像 鏡の中のふたりの肌が あかるく光つながれて 照り返してくる 思い出は まばゆい真珠色の肌 ルーベンスの絵のように奥びかりする皮…